第二十五回澄心会

水戸 近藤 栄楽社中 大森文楽

 歴史と芸術の町・笠間。特に忠臣蔵で知られる浅野家は、赤穂転封前は二代にわたり笠間藩主でした。家老だった大石良欽(内蔵助の祖父)の邸跡も残っています。外にもにも多くの史跡を有し、笠間稲荷への信仰も深く、伝統ある笠間焼も含め、この地で育った陶芸家は数えきれません。山下りん、木村武山、田中嘉三もうまれ、美術館も数あり、文化人の集う街です。その中心の稲荷神社の「菊まつり百回展」を祝して、第二十五回澄心会が開催されました。
香道志野流、抹茶江戸千家、小川流煎茶の三席でした。

 煎茶席は毎回参加者の方々が待ちわびてくださっております。今回は月華煎茶手前をいたしました。お軸は堀口大学筆「花鳥風月」。街の日動美術館でのマリー・ローランサン展は、地方の人々を魅了しました。堀口大学は外交官の父と国外各地で暮らし、フランスでローランサンとの交際があったと云う接点でもお席が和んでいのした。花入は堀口大学が疎開をしていたことのある妙高の高井進作。亀甲磁でつくばね・美男かづら・せいじが活けられ、つくばねは初めての方も多く、関心を集めていました。月華手前を初めてする社中たちは、幾度も幾度も練習をしましたが、お客様に圧倒され、心が静まりません。いよいよ番が来てしまいました。「一煎さしあげます」と御挨拶。卓上の和楽先生お手造りの屋久杉のお棚がお姿にだぶつて勇気をいただけました。平成八年九月の台風で倒れた鹿島神社の古杉の茶則も先生のお作で、茶量を良く出来る様、早くからお預かりし、大切にお稽古させていただきました。御家元御染筆「啓窓来清風」の茶瓶に茶葉を投じ、心で数えながら湯を入れ、竹泉の花鳥紋の茶碗へ緊張の一滴がおちます。先生のお話もとぎれ、心配げに手元をご覧くださつています。一煎目と二煎目の茶味も量も違うお手前に、お客様も驚かれたと思います。でも喜んでくださいました。いよいよ長岡の大和屋製のお菓子「もみじ襲」が運ばれました。菓子器に盛られてお菓子は庭園に散ったうす紅葉の様で、一幅の美しい絵でした。和楽先生が折々、「人間は一生勉強」とおっしゃっておられましたが、今回も学ばねばならぬことが沢山出来た茶会でありました。

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