第四十九回 祇園祭煎茶献茶式

 七月二十三日、西の楼門も新しくなった八坂神社に於きまして恒例の煎茶献茶祭が行われました。
 この献茶式は六年に一度の輪番で行われるもので、炎暑の中、朝早くから大勢のお客様がみえられました。

 午前九時、森宮司様初め神官方、祇園社役員様、当流御家元、京都家元会の御家元方、奉仕者、が拝殿に上られ定位置に着座。祝詞奏上、献饌の儀等に続いて嘉楽様の炭手前。雅楽の奏じられる中、羽箒で清められた炉の上の湯瓶から、ほどよい湯気が立ち上りました。御家元が嘉楽様から手前座の整った由、挨拶の礼を受けられ神前に一礼。

手前座に進まれて献茶手前が始まりました。対面に各御家元方と役員様が座られ、手前座右側にお客様。お客様のお座りの位置が近く、皆様の目線が御手前に集中します。甘露が三碗に滴り、御家元から春日盆ごと大塚喜楽師範の手に渡され、スサノオノミコトをはじめとする三神の御前に献じられました。水屋奉仕・大塚清楽師範。

 拝服席の常盤新殿内の常盤御殿では、烏竹棚の冷淹略盆手前で奉仕いたしました。この御殿は、常は一般非公開のところ。もとは光照院門跡の寝殿であった建物で、江戸幕府の寄進により再建され、寛政元年光格天皇より「常盤御所」の名前を賜られたとか。三井家を経て昭和三十一年に当社へ移築された由緒ある建物です。

 床の間の軸は神社様の「観瀑図」。林文塘の大幅です。香炉は御家元秘蔵の乾隆ガラス製。

香筒は現代のものですがこれもガラス。ともに涼やかさをいっそう引き立てます。書院の水盤に夏草を生け作り物の蟹を遊ばせて、お客様をお待ちいたしました。本当に暑い夏となりましたが、冷たく甘い一煎を求めておいでになられたお客様方。ガラスの茶器などの涼やかなしつらいと茶味に満足のご様子で、席をあとにされておりました。

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